“この医師に聞きたい”シリーズ
インタービュー第2回
新宿ヒロクリニック 英院長

医療法人社団 三育会 理事長
新宿ヒロクリニック 院

英 裕雄(はなぶさ ひろお)氏

1986年 慶応義塾大学商学部 卒業
1993年 千葉大学医学部 卒業
浦和市立病院(現さいたま市立病院)にて研修
1996年 曙橋内科クリニック 開業
1999年 医療法人曙光会理事長 就任
2001年 新宿ヒロクリニック 開業
医療法人社団三育会理事長 就任

担当科目
外来(総合診療科)
訪問診療



三育会の心 CREDO クレドクレド

OurVision

私たちは、世界一の高齢化社会に向かおうとする日本において、「いかなる病気や障害があっても、その人が望む場所で、尊厳を持って人生を全うできるよう」に貢献し続けます。

OurPromise

多職種協働によるかかりつけ医療を発展すると同時に、種々の社会サービスと協働し一致団結してビジョンの実現を目指します。

OurMission

患者さんやその支援者へのミッション
私たちは24 時間365 日、多職種協働で統合化されたかかりつけ医療を行いながら患者さんが主体的人生を全うできるよう、また患者さん支援者にとっても意義深い支援ができるように、最大限励みます。

連携先へのミッション
様々な医療、介護サービスと積極的に連携・協働するとともに、すべての連携先に喜ばれるような組織づくりに励みます。

時代へのミッション
刻々と変化し続ける社会状況に即応し、常に時代の要請にこたえられるべく変容し、 さらにより良い社会貢献が常にできるよう励みます。

職場へのミッション
後育、組織の充実を図りながら、日々業務改善、研鑽に努め、職種の垣根を越えて一致団結し、地域医療を通じて感動できる職場づくりに励みます。

診療方針・内容
病気や障害を抱えながら生活することは大変なことです。新宿ヒロクリニックはそんな患者さんの生活を支える、良き伴走者になりたいと考えています。

事業展開
平成13年  新宿ヒロクリニック 開業
平成28年8月 東京がんサポーティブケアクリニック 開院
新宿ヒロクリニックは3つの診療を行っています。
外来診療・訪問診療・緊急往診

外来診療
風邪や腰痛、発疹など日常的な疾患から、がん・難病まで幅広く診察します。

訪問診療
医療チームがご自宅へ伺います。がん・難病にも対応。訪問診療20年の経験。

緊急往診
24時間365日医師・看護師が待機。夜間や土曜・日曜・祝日も電話相談・往診。

今回の第2回“この医師に聞きたい”のインタビューは、在宅医療に20年以上携わり、多くの在宅医療に携わる医師を育ててきた医療法人社団三育会、英理事長にご登場頂きました。2015年5月には、“かかりつけ医”の重要性を捉えなおし、新宿区新大久保に新宿ヒロクリニックを外来・在宅医療の拠点として新規オープンされました。その英理事長に、今回は医師のキャリアパスをテーマにお聞きしました。内容は英理事長の独自の価値観と視点を知る貴重な一助となるはずです。

Q1.医師のキャリアパスの現状を聞かせて頂けますか?


当院では、入職時に1年目、2年目、3年目、4年目、5年目という形で、まずスタート時点を決めます。その後、医師の専門に合わせて、目標や、ビジョンを設定します。たとえば、新宿であれば、地域包括ケアを中心としています。また最近では新橋に、緩和ケア専門のクリニックを開設しました。入職した医師の方とは、当然、今までの経験を考慮して、将来のクリニック開業も含めて目標を決めていきます。これまでの専門性に疑問がある場合も、一緒に専門を作っていくこともできます。


Q2.将来、医師のキャリア形成はどうなっていくとお感じでしょうか?


今後の地域医療では、女性の働きやすい職場が必要になります。また、これまでの画一的なものから患者さんに合わせた多様化したものになると思います。これまで、医学部や医師の世界は男性的なものが多かったですが、これからは女性用のキャリアパス、たとえば、時短勤務ができる職場などが必要になります。私は、患者さんのニーズを良く見ることが大切だと考えています。役に立つことをすることです。診療報酬が付いたからやるではなくて、患者さんからのニーズがあれば、必要なことだと感じるなら、やるべきです。最終的に、診療報酬が、やっていることに追いついて、それが裏付けになるはずというのが私の考えです。


Q3.日本の医療の未来予測も含めて教えて頂けますか?


これからの医療のことは、原則、患者さんや地域、時代のニーズが全てだと思います。これについては外さないことが重要です。在宅医療については、かかりつけ医を中心とした、在宅医療の普遍化が進むと考えます。この時代が進むと、訪問看護をメインとし、医師はオンコールを中心とした診療にシフトし、安定期は看護師が中心となる診療体制になることもあり得るでしょう。訪問診療とか、外来とか、往診とか、垣根を持たずに、その人にあった必要のあるものが残っていくと思います。


Q4.先生のご経験から今後30年医師として生きる方への提言はございますか?


時代に適応することが大切です。患者さんの言うことを良く聞くことです。それは、鵜呑みにするということとは違って、今日の患者さんはこう言っていた、そして、別の患者さんはこう言っていた、いう風に患者さんの投げかけた言葉をひとつひとつ確認していきます。
これまでの経験から、診療報酬、大学で学ぶこと、学会で言われていることだけで行動しないことです。実際の診療の現場で行われていることや向かっている方向は全くの別物である場合もあります。私は経営の本などは読みませんが、糖尿病で通っていた患者さんが急に来なくなった時は患者さんに電話して来なくなった理由を聞いたりして、それを参考にした医療経営を目指したいと思います。これから医師として生きていく方も、自分の目で時代や患者、地域のニーズを確認し、それを信じることが大切です。


Q5.臨床医師として、開業を継続させていくための準備や、しておくべきことはございますか?


開業にあたって、患者さんこそが財産であるといえます。そのためにいろいろ、準備としてはするべきことはあります。患者さんが来なくなったということはニーズに応えていないということです。そのようなことに気づいたらすぐに手を打つことです。医師会との付き合いもこれからは必要になってくる時もあるでしょう。また、現在病院勤務中であるなら、将来開業したい地域はどこかを考えてその近隣の病院などで、基盤作りをするべきでしょう。但し、患者さんを連れて独立開業することは必ずしもその地域ニーズに応えているとは限らないことを理解することです。そして、開業した後には、その循環がうまく出来るような仕組み作りが必要です。


Q6.一人の経営者としてはいかがでしょうか?


まずは、勤務医師から、開業する時は自分を大きく変える必要があります。まず、医療者として、医師として変えることです。人に頼らず、自分を強く、自己責任で考えることです。このままでいられるかと考えて、生き残りたいか、と自分に問うべきです。
私は、これまで自院で、いろいろなインフラ作りを行ってきました。その時に大切なことは、不採算部分を敢えて作ってきたことです。たとえば、電子カルテ、夜間往診や休日の訪問診療などは完全な赤字部門でした。しかし、そのような投資は必要とされていれば、先行投資になるということです。それは新薬の開発に先行投資が必要なように、新しい医療の体制作りにも先行投資が必要と考えています。


英院長、インタービューへのご回答ありがとうございました。
ドクターズキャリアプレスはこれからも多くの医師の方にインタービューを行い、医師のキャリア形成にとって最適な道をご提案していきます。今後とも、お楽しみにお待ちください。