“この医師に聞きたい”シリーズ
Q1.医師のキャリアパスの現状を聞かせて頂けますか? 当院では、入職時に1年目、2年目、3年目、4年目、5年目という形で、まずスタート時点を決めます。その後、医師の専門に合わせて、目標や、ビジョンを設定します。たとえば、新宿であれば、地域包括ケアを中心としています。また最近では新橋に、緩和ケア専門のクリニックを開設しました。入職した医師の方とは、当然、今までの経験を考慮して、将来のクリニック開業も含めて目標を決めていきます。これまでの専門性に疑問がある場合も、一緒に専門を作っていくこともできます。 Q2.将来、医師のキャリア形成はどうなっていくとお感じでしょうか? 今後の地域医療では、女性の働きやすい職場が必要になります。また、これまでの画一的なものから患者さんに合わせた多様化したものになると思います。これまで、医学部や医師の世界は男性的なものが多かったですが、これからは女性用のキャリアパス、たとえば、時短勤務ができる職場などが必要になります。私は、患者さんのニーズを良く見ることが大切だと考えています。役に立つことをすることです。診療報酬が付いたからやるではなくて、患者さんからのニーズがあれば、必要なことだと感じるなら、やるべきです。最終的に、診療報酬が、やっていることに追いついて、それが裏付けになるはずというのが私の考えです。 Q3.日本の医療の未来予測も含めて教えて頂けますか? これからの医療のことは、原則、患者さんや地域、時代のニーズが全てだと思います。これについては外さないことが重要です。在宅医療については、かかりつけ医を中心とした、在宅医療の普遍化が進むと考えます。この時代が進むと、訪問看護をメインとし、医師はオンコールを中心とした診療にシフトし、安定期は看護師が中心となる診療体制になることもあり得るでしょう。訪問診療とか、外来とか、往診とか、垣根を持たずに、その人にあった必要のあるものが残っていくと思います。 Q4.先生のご経験から今後30年医師として生きる方への提言はございますか?
時代に適応することが大切です。患者さんの言うことを良く聞くことです。それは、鵜呑みにするということとは違って、今日の患者さんはこう言っていた、そして、別の患者さんはこう言っていた、いう風に患者さんの投げかけた言葉をひとつひとつ確認していきます。 Q5.臨床医師として、開業を継続させていくための準備や、しておくべきことはございますか? 開業にあたって、患者さんこそが財産であるといえます。そのためにいろいろ、準備としてはするべきことはあります。患者さんが来なくなったということはニーズに応えていないということです。そのようなことに気づいたらすぐに手を打つことです。医師会との付き合いもこれからは必要になってくる時もあるでしょう。また、現在病院勤務中であるなら、将来開業したい地域はどこかを考えてその近隣の病院などで、基盤作りをするべきでしょう。但し、患者さんを連れて独立開業することは必ずしもその地域ニーズに応えているとは限らないことを理解することです。そして、開業した後には、その循環がうまく出来るような仕組み作りが必要です。 Q6.一人の経営者としてはいかがでしょうか?
まずは、勤務医師から、開業する時は自分を大きく変える必要があります。まず、医療者として、医師として変えることです。人に頼らず、自分を強く、自己責任で考えることです。このままでいられるかと考えて、生き残りたいか、と自分に問うべきです。 英院長、インタービューへのご回答ありがとうございました。 ドクターズキャリアプレスはこれからも多くの医師の方にインタービューを行い、医師のキャリア形成にとって最適な道をご提案していきます。今後とも、お楽しみにお待ちください。 |